「0系」新幹線 「鉄道遺産」に 大阪の博物館展示 第1号車両 元技師ら生みの親も感慨
2008年10月15日
初代新幹線「0系」が11月末で引退するのを前に、JR西日本は14日、大阪市港区の交通科学博物館に保存展示されている0系第1号車両を、歴史的価値のある「鉄道記念物」に指定した。
指定式に、親子で新幹線開発に携わった元国鉄技師の島隆さん(77)=東京都品川区=ら関係者3人が招かれ車両と対面。「苦労した思い出がよみがえる」などと鉄道史に残る「名車」を懐かしんだ。
第1号車両は東海道新幹線開業の64年に最初に納入され、78年まで使われた。0系は現在、山陽新幹線に3編成だけが残る。
旧国鉄で車両技師だった島さんは、58年から設計チームの一員として、時速200キロ超に耐える台車などを製作。父の故秀雄さんも同時期に国鉄技師長として新幹線建設を指揮し、その功績で94年に文化勲章を受章した。
島さんは「父が『将来、もっといい新幹線が出てくる』と話していた通りになった。引退は寂しいが、第1号車両を大切にし、いつまでも覚えておいてほしい」と話した。
また、特徴ある団子鼻の先頭部をハンマーでたたいて手作りした板金技術者、山下清登さん(73)=山口県下松市=は「数十年ぶりに対面し、手探り状態で作った当時を思い出した」と感慨深げ。
試作車の運転士だった桐村博之さん(78)=京都府福知山市=は「無事故で開業日を迎えたのが誇り。今後も安全運行を続けてほしい」と話した。(小林祥晃記者)
- [ 出典 ]
- 毎日新聞 大阪版 2008年10月15日